4月16日から21日。
 私が直接従事した支援活動は、盛岡市内の救援物心集積場です。関西広域連合の一員である大阪府の救援活動として職場から送り出していただいたので、通常のボランティア活動とは少し異なるところもあります。大阪府のスタッフは6人1班編成。人事管理もやらねばなりません。朝の8時に盛岡市中心部の岩手県
庁に集合、物資集積場に9時前に到着。9時から休憩をはさんで21時までが拘束時間で、臨機応変の活動はできません。
 作業は、全国から届く物資の中から、県内の避難所から寄せられる必要物資の伝票に従って物資を選り出し、必要物資を揃えて、発送するまでを監督します。
 積み込みや配送は運送会社とトラック協会の方がフォークリフト5台と11トントラック数台を使ってやってくれます。
 岩手産業文化センター「アピオ」という県の産業振興のための施設が集積場になっており、広大なアリーナと会議場、屋外展示場や大型仮設テントがそれこそ物資であふれかえっていました。

  http://www.apio-iwate.com/ こちらで物資の写真も見られます。

 さて、職場でも報告した内容をかいつまんで記すことに。

1.提案 今後の復興支援について
広域的継続的体制で「東北を見捨てない」支援を!
 災害発生に即応でき重複なく効率的支援が可能な関西広域連合の支援カウンターパート方式は有効。
 この体制にボランティアやNPOも組込みを図る必要。
ボランティア力を活かせ!
 長期化する避難生活に行政ではきめ細かい対応に限界。
 きめ細かく完全復興まで持続する支援活動が必要。
被災地の直近に拠点を置き、ボランティア受入負荷を最小にする体制を!
東北地方全般、防災面でのインフラストラクチャーをグレードアップ!
 首都圏、関西に比して見劣りする河川堤防、新幹線など一点豪華主義の交通。
復興事業に伴う経済需要は、東北に還元される地域自立型の経済圏を!
 首都圏に復興特需を奪われない、利潤は地域に還元する方策を!

2.支援活動での課題
1)物資について
(1)量的には充足。ニーズとのミスマッチが顕著。
 量的には十分。ただ、復興の進むにつれて必要な品物が変化するので、大容量のペットボトル入りの水が野積みされており、活動した時点ではほとんど需要がない、同じ水でも500ml入りのものはそれなりにニーズはあるが、2リットルのものは大量のストックがある。カップ麺を大量に発送しているが、レトルトごはんのニーズが増えつつある。仮設住宅用に寝具が必要だが掛布団だけで敷布団がない、あるいは報道をきっかけに大量の粉ミルクが寄せられる、など、集積物資とニーズのミスマッチが目立つ。
(2)日々変化する物資ニーズ
 復旧に伴って活動範囲が変化しているのか、履物類も、長靴などのニーズが減り、スニーカーや革靴などのニーズが増え始める。こうした変化に迅速に対応できないと、避難者の生活再建への意欲を削ぎ、ストレスになるのではないかと危惧した。
 限界のあるなか、物資を選り出す作業の中でも、物資ニーズの日々の変化に被災者の生活が思い浮かぶ。不足する場合や希望に添えない場合など、なんとか他のもので間に合わないか、自然と必死になってしまい我を忘れて探し回ることもあった。
2)被災県の全般的状況
(1)津波被害を受けた沿岸部と内陸の盛岡などの中心都市で、著しい差がある。盛岡市では、早朝の盛岡城趾を歩いてみても、人影こそ少ないが、散策、ジョギングなど、近所がちらほらとすれ違うまったく日常的な光景。
 岩手銀行などの歴史的建造物や盛岡城址の赴きある石垣、海の幸山の幸が豊かな盛岡の繁華街、裁判所の石破桜(岩盤から生えている)など魅力的な街だと思った。
 テレビで繰り返し流れ津波被災地の沿岸部の様子とは全く異なる。和歌山県のメンバーで、津波被災地を訪れたメンバーは、車を停めるスペースもなく、いたたまれずすぐ帰ってきた。テレビのとおりの惨状で足を運ぶこともなかった、と、かなり衝撃を受けた様子で教えてくれた。
 4月下旬以降に現地に入ったNPOの方のお話を聞いても、津波にあったところと、あっていないところでは、がらりと状況が異なる。天国と地獄の差であるとのこと。
(2)盛岡市など内陸から沿岸部へ130km以上。自動車1台では1日1往復が限度。
 この距離感が行政内部でも、県庁と沿岸部市町村の間で温度差を生んでいるように思えた。
(3)避難所運営者などの疲労が心配。
 物資集積場に、小規模な避難所から物資を引き取りに来る運営者の方などに会う機会もあったが、積み込みをしていても笑顔がさわやかで気丈さを感じた。
が、しかし、ほぼ出会ったほぼすべての方が大変急いでおられて、積込にかける時間も惜しい様子であったのが印象に残っている。
 おそらく厳しい条件の被災地で避難所を切り盛りする方たち、避難所であれもこれもとやるべきことがたくさんあるのだろう。
 仮設住宅の長期化しこうした人々に疲労が蓄積していくことが心配になった。
 避難されている方も心配だが世話役の力が尽きれば避難所の運営が厳しくなる。
3)行政的な課題
(1)国の縦割り
 カップ麺は経産省。割箸は農水省などと、笑えない。
(2)物資の配送について議員さんの助言が要るだろうか?
 心配いただいているのは判るが、この時点では完璧に公平にやらないと。
 個別の配慮すべき事情も出てくると、声は集約してほしい。が。
(3)市町村役場が打撃を受けている。
(4)仮設住宅の立地が困難。
 津波が及んだ場所では、再度の津波被害の可能性があるから建てられない。
(5)機動的な判断が難しい行政マン。
 情報選択の能力、現場での即断力、持続力、が必要だと思うが、私も含めてこうした能力は日頃から鍛えておかないと、すわ災害、と言うときにうろたえるだけ、になりかねない。
(6)東北の気質?国や他府県へ、支援ニーズの発信が苦手?
 本当に困っているところは困っているのだから、「他にもっと大変な人がいる、」などと我慢しないで!不器用な行政でも、たすけを求める声があれば、届けられるモノもある。
 避難所では切実な超えもあるのだろうが、地域、市町村、県と、ステップを重ねるごとに、自分で解決しなければ迷惑をかける、と言うような気遣いがあるのではないか?
(7)物資支援する人へ。
 古着、過去の災害普及で歓迎されないことが判っていると思うのですが、届いてました。疲労を重ねる受け入れ側の担当者は、受け取るだけでも大変。仕訳する立場になって送ってほしい。私は短期の応援だから、気持ちはわかる、などと言えるのだが。。
4)これからはボランティアのチカラが重要度を増す。
 被災者が個別の被災状況に応じ、自らが生活再建に努力されることもあり、被災者の状況や支援へのニーズはだんだん個別化多様化していく。
 行政主導の復興事業では個別の被災者の生活再建支援は、きめ細かさを欠き、限界がある。被災地の近傍周辺地域や近隣府県をベースにNPOやボランティアを支援体制の一環と位置づけ、被災者の生活再建支援を息長く続けていく必要があると思う。

 以上、断片的だけど。何らかの参考に。

 この後、被災地の救援に向かう人は、遠野真心ネットワーク、山形県米沢市など、比較的被災地に近いNPOの動きと連携をとってほしいと思う。

 GWだけでなく夏も秋も冬も。平日も支えが必要。