月: 2015年5月

第32回カーター記念黒部名水マラソン 完走の記

事前に心配していた前半の坂は、高低差は大きいものの勾配が一定しているため、何とか乗り切れた。
問題は経験したことのない厳しい暑さ。
スタート時点でもかなり暑くて、無理を感じたらリタイアしようと考えながら走り始めた。2kmまでは5分/kmの自分のフルマラソンとしてはかなりのハイペース。何を隠そう、登録競技者だから、ゾーンの一番後ろに位置したもの、抜くのに邪魔になるようでは申し訳ない。5kmくらいまでは、ほぼ周りのランナーと同じ速さを心がける。
行ける行ける。リタイヤどころか登りの始まる14kmまで、ペースを抑えるのに苦労するくらいで快調。
なんとかリタイヤせずに行けるか。いつも最初の辛さを感じる18kmまで特にトラブルなし。ここを過ぎれば最後まで行ける、と確信して上り坂を頑張る。
今回からシューズのプロネーションタイプを換えて、今までよりちょい上級者向けのものにしたのだが、
右脚の膝が内側に倒れすぎる気がして、コース取りを変える。左側に寄って道路の排水勾配を利用して、右足の内側を持ち上げようとの作戦だ。

30kmまでは奏功したかに思えて、楽に。

ごく前半をのぞいて2kmに1カ所の行き届いた給水。
意外なくらい冷たい涼風。見れば、気温データではわからないけど、コースの両側とも広大な水田である。ひんやりとした風が吹き、暑いな、と感じることもあるが救いの涼感がやってくる。これで頑張ることができた。

坂は勾配が一定しているので、自分のペースを見つければ平坦路と変わらない。(ように感じた。)

折り返し地点での演奏、給食(私は黒部の塩とます寿司、をいただいた。ゆっくり楽しみたいがタイムロスも困るし。)
きゅうちゃんのハイタッチ、アイウエアを外して、「肉眼で見ていくね!」「ありがとう」なんて言葉を交わせたのも大きい。俄然元気が出る。

28kmなど、黒部川の青碧の清流が急いで下っていくのに見ほれる。下りでもあるし、このペースでいつまでも走っていけるような気がする。走ることの素晴らしさはこう言うところにあるのだろうが、見方を変えるとある部分狂気であるかも知れない。

新幹線が横切るように追い越していく。。審判が、「新幹線を追い越せ!とエール」
うれしい。新幹線はコースを離脱しているから反則で、ちゃんと走っているランナーが抜かれることはないなどと勝手に解釈して、また気分良くなれる。

しかし。

前半の坂を頑張りすぎたせいか35kmくらいから右脚のふくらはぎと左脚の膝にいやな感じがしてきた。
プロネーションを意識しすぎてバランスが悪くなっていたのか、なんで非対称に壊れようとするねん。。(本当にしんどい時、大阪人は大阪弁になる。もっと状態が悪くなると、しんどいとしか言わなくなる?)

前半のハイペースで小さな走り方になっていたような気もする。ふくらはぎが攣る予感なんて。。

37km手前で右脚がつりそうになる。給水での塩ソフト、に思わず、立ち止まって楽しむ。筋肉を少しでも休めようとふんだんに用意された水で入念に冷やす。少し立ち止まり歩く格好に。が、歩きはしない。まだ走れる。。

こんなにありがたいエイドはない。モチベーションはまだ維持できている。少し立ち止まるのは理由がある。決して歩きはしない。

38km、右ふくらはぎが本当に攣り、しんどさは相当。ペースダウン。一瞬とまって脚の脱力をやる。海に向かっている。なんとか走り続ける。歩くくらいなら、リタイヤだ。

スローダウンしてくると叱りつけてくれるぐらいの応援、特に40kmあたりからフィニッシュまでの応援。自分だけに向けられた悲鳴のように受止めてしまうから。

走らないと!

左脚を庇いつつ、しかし庇ってバランスが崩れるとロクなことにならないから痛いは気のせいや、などと考えて走る。

このあたりは、日本海の雄大な景色が右手に見え、漁港の中にはいってくる。

ますます痛んでくる両脚。ますます強くなる応援。右脚を前に出すとふくらはぎが攣る。ゆっくり後ろに蹴ると緩む。
この繰り返しで、最初の5分/kmから6分/kmにペースダウンしながらも、歩くわけには行かない。しかし頑張りすぎて、脚が動かなくなったらもっと応援に対して申し訳ないことになってしまう。

壊れる限界を試しつつ止まらずできるだけスピードを保つ。GPSを見ながら、目標のサブフォーを達成できるのは?歩いてもサブフォー行けるにはあと何km?など、
考え考え、生地(いくじ)の漁港・古い街並みを抜けていく。前日の生地街歩きであんなに手放しで楽しかったきゅうちゃんとのやりとりや名水の味、名水豆腐や名水そうめん、きゅうちゃんのかじり差しをもらって楽しんだ同じ街並みの中なのに、この苦しさは何なのだろう。

フィニッシュ会場にはいったところからは風景も覚えてない。路面がタイルになったろうか?この頃にはおそらくペースは7分/km近くまで落ちていたのではないか?
サブフォーランナーが抜いていく。際限なく抜かれる感じがした。が、同様苦しんでいるのか目標タイムに照らして余裕なのか、歩いているひとも居る。

私は歩かない。

フィニッシュのゲートが見えるときに左脚をけり出すと膝が痛み、右脚をけり出すとふくらはぎがつり、レース展開としては最悪だ。遅くとも同じペースで走る方が立派なランナーだとも思う。

フィニッシュ。初マラソンで4時間とあと少しだった、とくしまマラソンの時の方が余裕があった。脚がつらいのと、給水・ゼリーなどでの塩分補給と脱水を繰り返したせいか、おなかも自分のものなのか、石でも食べていたのか感覚がない。

4時間以内で完走できたことはわかるので、感極まる。フィニッシャーズタオルをかけてくれる、メダルをかけてくれるボランティア、完走賞を打ち出してくれるスタッフに「ありがとう」と言いたいのだか、ひきつった高い声しか出てこない。恥ずかしいのだが気持ちに逆らえない。

フィニッシュ給水で脚を思いっきり冷やし、私のレースを終えることが出来た。

エピローグ
走り終えたあと、おなかが空いていない。でも消耗しているから、脚を治すためにも食べなければ。この辛さは初めてだった。
何よりビールを飲みたいと思うのに1時間以上かかった。ランナーへ配られる名水鍋が元気をくれた。
黒部駅へのシャトルバスもありがたかった。
富山駅で、小休止して新幹線、サンダーバードと帰路に着くのだが、富山地鉄の駅で駅そばん食べた。ランナー同士で目があうともう友達。店のひとも混じったりしてほっこりできた。
サンダーバードの車内では脚も全身もつらかったけど、翌週も相当堪えるとはこのときはまだわからない。

でも、何とたくさんのひとに世話になったのだろう。ふり返りつつふり返るたびに心が熱くなる大会、黒部・富山の街だった。


黒部名水マラソン

タイムリスト この記録は速報(参考記録)です

START 00:00:10 09:00:10

5km 00:25:36 0:25:26 09:25:36

10km 00:51:45 0:26:09 09:51:45

15km 01:17:58 0:26:13 10:17:58

20km 01:45:31 0:27:33 10:45:31

25km 02:13:20 0:27:49 11:13:20

30km 02:40:10 0:26:50 11:40:10

35km 03:07:30 0:27:20 12:07:30

40km 03:40:17 0:32:47 12:40:17

FINISH 03:54:19 0:14:02 12:54:19

最後で破綻してますね。


高橋尚子さんトークショー

黒部名水マラソンの前日イベント。生地街歩きに続き、大当り。

実戦で役立つ給水のコツからストレッチまで、本当に身につく。時間の制限を破り、質問時間は延長大サービス!

細部は略して、でも最後の応援メッセージが本当に嬉しかった。

海外の強化合宿の直前時期にあたるこの大会。仕上がりの基準、目標にして来たから、育ててもらった、応援にも背中を押してもらった。そんな大会。

自分が背中を押してもらった分、明日のランナーの最大の応援者になり、背中を押したい。。
ありがとうありがとう。今日も暑かったし、明日も。。でもこれで本当にチカラが湧いた。

明日もハイタッチ、フィニッシュで笑顔で受けたい。。 

 


富山名水マラソン 生地街めぐりは大当り!

新幹線駅の乗換えの解りにくさに辟易しつつも、何とか前日イベントのキモ、きゅうちゃんが参加する生地街めぐりに間に合った。

めっちゃミーハー。(死語) 

 

きゅうちゃんについて歩く。(笑)

いつものことながらサービスの良いこと。

で、名水があちこちに湧いているのが当たり前みたいな感じで20分で歩ける範囲、3か所の名水を利き水。

コップやひしゃくでまわし飲みだからきゅうちゃんの飲みさしがいただけたり、名水の豆腐やそうめんも同じな感じで、こーんなに近くからきゅうちゃんとお話し出来たり。

お酒の試飲もあって、海外の某大会では、ワインを何杯呑んで走った、とか。カラダに悪いんじゃ?と聴くと、気持ちが高まって、前に行けるつか、なんだかすごいことを。(彼女だから出来るのであろうが、肝臓イカレたおじさんは真似しては絶対行けない。危ない。)

蒲鉾屋さんの絵付け?では、きゅうちゃんが、肉球や「Q」を蒲鉾に描いている。

名付けてQカマだとか。(笑)

これがあとのトークショーでは焼きあがって出て来て、「あのときのQカマ、ニャンカマが!」

と驚く間もなく、これは蒲鉾屋さんのきゅうちゃんへのプレゼントだつたのだが、きゅうちゃんからじゃんけんで会場の5名にプレゼント、とのサプライズに発展することになる。。

しつかり、生地漁港の旋回橋や道の駅ならぬ魚の駅での買物にも引き込まれて地元のPRも刷り込まれて良く出来たイベントだけど、それにしても無料で、このお得感は半端ではない。

あー単純に幸せな気持ちになれて、最高のマラソン前夜。

明日は暑くて登りで、ツラいけど、ぐっと背中を押された感じでした!