サイクルショップ

サイクルショップ

物資集積所での活動を終えて、移動日の昨日、出発までの本当に短時間だが、盛岡市内をあちこち訪ねた。本当にくやしいくらい短時間。朝8時から9時まで。

(実は活動2日めも6時30分の朝食を終えて、出発の8時10分まで、盛岡城趾を撮影かたがた散策したのだが。)

全く私としては期しないことであったが、津波に襲われた自転車 一台のロードレーサーに出会った。
盛岡市内の比較的大きくて日常的なママチャリなどではなく、スポーツタイプの高級車も扱っているサイクルショップ。
私も学生時代はロードレーサーを組み、ちょっとしたサイクリングに出かけるのに熱中していたので、地方の店なら昔ながらのクロモリ鋼フレームのストックでも残っていないかとショウウインドウを眺めているるうちにふと思い立って扉を押した。

シマノの高級コンポーネントを使った完成品が天上に壁面に吊られている。ビアンキもある。が、残念。最新のカーボンやアルミばかり。
店主の方だろう。「こちらにもありますよ。」
 なるほど、店の奥にもさらに高級なモデルがある。

ふと、フロアに視線を落とすと、フロントホイールを外され整備中とおぼしき一台に目がとまった。
これもシマノのパーツが中心だが、なかなかこだわりのホイールやタイア。じっと見ていると先ほどの店主が
「これ、津波でやられたんです。」
「えっ?」
「いや、沿岸部のお客さんでね。本人はこちらを中心にお仕事されてるし、自宅高台にあって無事だったんだけど、海沿いの建物においていた自転車がやられて。」
・・・
「ホイールももうひと組あったのだけど、そちらは助からなかった。助かったこのクルマも、津波って塩水でしょ。とにかく放っておくとどんどん悪くなる。お客さんが何とかならないか、ってもんだから、全部ばらしてとにかく洗う。それしかないんです。でもベアリングやなんかは変えるしかなかったですねえ。」

よく見るとサドルも皮が塩を吹いたようになっている。
うーん。ほとんど言葉がだせなかった。うなづき、相づちを打つしかない。

しばらく部品のコーナーなども見て謝して去った。
復興の中では塩との闘いも出てくるんだろうなあ。紙は?写真は?土は?