脱原発=大停電の脅し。と題してつぶやいてきたが、集約を試みる。

われわれ市民が手にすることができる数少ない関西電力提供の資料。

脱原発=大停電の脅し。関西電力の節電のご説明資料は不十分ではあるが丹念に読んでいくと実際に不足する可能性のある電力がいくらか見えてくる。原発を全部とめる又は順次停止していく原発を動かさないとどれだけ足りなくなるか。。

結論:
関電資料は不十分だが丹念に読むと実際に不足する電力はわずか3%、それもピーク時に限られること、11%も節電すれば原発を全部とめても大丈夫。と理解できる。http://www1.kepco.co.jp/notice/gosetsumei_2011.pdf

なお、間違った節電のアナウンスで次の悪影響が出ている。
家庭用:(電灯)誤った情報と、無理な節電行動により高齢者の独居世帯での熱中症による搬送が増えている。
産業用:(電力)東日本から関西への生産拠点の移転指向を、挫いた。

理由:
1)供給
 2938万kWの供給量を、予備率5%分を差し引き2798万kWに過小見積り。
 計算式は 2938×100/105と思われる。140万kW少なく見積もった数字である。

2)需要
 3037万kWの需要を、猛暑による気象影響量101万kWを加え3138万kWと過大見積り。

3)需給の差
 需要と供給を単純に比較したときの差分は
 供給2938万kW 需要3037万kW 不足99万kW。供給を100%とした場合不足分は「3%」強となる。
 超えると確かに電力供給が不足する。
 ※大飯原発1号機の停止を見込まないで、関西電力の15%節電依頼時の節電ご説明資料を基に試算。

4)大飯1号機の停止影響
 減少分は117.5万kW。元々の不足量99万kWとあわせて不足量は合計216.5万kW 約7.4%

5)関電の必要節電量の疑問点(15%節電依頼時。大飯原発は考慮せず。)
 供給を予備率5% 140万kW少なく見積り。
 需要は気象影響分を101万kW多く見積り。
 以上を足し上げて340万kW=11%節電が必要。

6)節電目標値の設定の曖昧さ
 過大な節電必要量340万kWにさらに4%を上積み、節電目標量15%とする。
 4%分は病院などの節電不可を補う加算分。
 15%とは470万kWに相当する。(比較的新しい大型原発4基分。)(分母の設定が判らないから正確ではない。)

7)逆手に取り脱原発の可能性を考える。
 しかし、今夏の原子力発電による発電量が455万kWであるため、関電の主張どおりの節電を実行すれば、電子力発電を全て停止してもぎりぎり電力は不足しない。
 (大飯原発1号機117.5万kWは既に停止、美浜原発2号機50.0万kW高浜原発2号機82.6万kW高浜原発3号機87.0万kW大飯原発2号機117.5万kWの計337.1万kWを
 加えて約455万kW)

8)節電行動
 しかも3000万kWを超える電力需要は14時から17時(グラフからおおよそ読み取った結果であり、関西電力からのデータがないので必ずしも正確ではない。)の約3時間である。
 3時間3%の節電を心がけ、その他の時間は電気を昨年どおり使ってもな需給は逼迫しない。
 この節電行動を時間軸を考慮して数値化すると3%×3/24=0.4%弱である。大飯原発の影響を加えても7%×3/24=0.9%。全原発停止では15%×3/24=2%(電力量基準)
 ピークを超えないように交互に電気仕様を控えるのは現実には相当難しいが、マクロ的に見れば、産業への影響はほとんどないレベルの数字ではないか?

9)その他の考慮事項
(1)気象影響量101万kWには平成22年度からの経済成長を反映したベース需要の伸び(平年並みの気象条件)も基礎条件として考慮されている。が、震災の影響を考えても経済成長によるベース需要の伸び、は非現実ではないか。
(2)実は昨年は全国でも関西でもピーク時の消費電力は過去最高ではない。
 全国データでは過去最高は2001年次いで2005年。猛暑の昨年は関電3095万kW、全国1億7775万kWでいずれも過去最高ではない。。4電力会社で過去最高を記録しているが、すべてではない。
http://www.fepc.or.jp/about_us/pr/kaiken/__icsFiles/afieldfile/2010/09/10/kaiken0910.pdf
(3)大阪ガスは次期需要予測で平均気温を前提とし、省エネ推進を織り込む。こちらの予測条件がより客観的ではないか?
(4)実は夏場はガス冷房で需要が増えている。
http://www.irwebcasting.com/100430/02/891bea6fa8/main/index_hi.htm
(5)「関西電力の家庭での需要のピークは19時から20時であり、関西電力全体の電力需要カーブとは一致しません」とのこと。東京電力では全体でのピークも20時前後にある。「ご家庭にあっては照明やテレビ、パソコンの電源をこまめに切るなどの節電行動を」「9時から20時にかけて幅広く心がけていただくとともに、(中略)全体の需要が高い13時から16時においては健康への影響を考慮していただきながら、エアコン使用抑制していた苦など」の取り組みをお願いしているようだ。

10)なぜ、全家庭・全産業に15%の節電が必要とアピールが必要か?
 関電の販売電力量の内訳は
  電灯488億kWh
  電力928億kWh  販売電力量 1416億kW
http://www1.kepco.co.jp/corporate/profile/index.html
 販売額は、電灯・電力別のデータは積極的に公表されていない。
 資源エネルギー庁のデータから
  電灯:21円/kWh
  電力:13円/kWh
http://www.enecho.meti.go.jp/denkihp/genjo/chosa/bunnseki.pdf
  電灯:1兆248億円
  電力:1兆2064億円
(両方とも市民レベルで推測できる範囲であり必ずしも正確ではない。ただし、売上だか2兆3473億円と符合する。)

 節電効果は大口需要家の寄与が大きいが、販売額への影響は少ない。
 販売額ベースで電灯・電力同率で節電効果が出ると経営的にはリスクが少ないのではないか?
 また節電協力を取り付ければ確実に節電効果が出るのは電力であるが、大口需要家の協力を取り付けるには小口需要を単価が大きいからと言って節電お構いなしとはしにくいだろう。
 また、ピーク時の影響が大きいのは電灯線の需要である。
 一律の節電要請は合理的と考えられる。

11)用語等
(1)すべての発電設備の中で実際に使われた電力(kW)を負荷という。そしてこの電力(負荷)のある期間における平均(平均電力)の最大電力に対する比率を負荷率という。負荷率=一定期間の平均電力/同期間中の最大電力×100(%) fepc資料より。
(2)上記電力負荷率は年間平均すると60%前後。@t_ishin 氏の言うとおり、電気はありまっていると言える。fepc 資料から。
http://www.fepc.or.jp/library/publication/pamphlet/pdf/genjo2011.pdf
8)節電行動について
(1)fepc家庭部門用途別エネルギー消費量
 家電・照明35.9%、台所8.1%、給湯29.5%、暖房24.3%冷房2.1%であり、家電と照明の比率が最も大きい。
http://www.fepc.or.jp/present/jigyou/japan/index.html
 家庭では、エアコンと台所機器はそのままでその他の家電と照明を全部切るのが節電効果が高く健康に影響しないと考えられる。
(2)ピーク時の電源構成について
 需要の変化に対応した電源の組み合わせ(ベストミックス)
原発の発電量はピーク時対応にはほとんど関係ない。ただし、ボトムをささえる貢献度は高い。
http://www.fepc.or.jp/present/jigyou/japan/index.html
(3)負荷平準化について
 設備利用率の向上、供給コスト低減の観点から、電力需要の季節や時間帯ごとの格差を縮小するため、電力会社はさまざまな電気料金制度や多彩な契約メニューを設定し、お客さまにお選びいただけるようにしています、と書いてある。
http://www.fepc.or.jp/present/jigyou/japan/index.html
 節電に協力しなければ大口需要家の割安料金を上げる、という意味かととるのはうがちすぎか?協力を得るのは容易いだろう。
 一方、原子力発電継続への世論形成には選挙での票数が多い都心生活者の理解が不可欠であり、こちらは経済的にではなく、情緒的なアプローチが効果的と考えられる。

 以上、だいたい関西電力の主張の根拠が理解でき、自分としてはどう対応するかも見極めることができたような奇がする。
 限られたデータからできるだけ客観的に分析したつもりだが必ずしも正確ではないところが明らかに存在するため、内容や数値については閲覧者が各自検証されるよう期待する。
 過誤の指摘は、部分を明確にし、正しいデータ、理由を示したうえで連絡いただけるとうれしい。